過去の地球磁場の変動を探ることで, 地球そのものの理解やテクトニクスへの応用を考える.
地球には棒磁石(双極子)型の立派な磁場があります.この地球磁場は,強さや極性,そして 自転軸との角度を時とともに変えてきました.
そもそも,地球にいつ頃から強い磁場があったのかもじつはまだよく分かっていません.それどころか,地球になぜ磁場があって,月や火星にはなぜ無いのかも, 本当のところはよく分かっていません.こういう疑問に答えるため,地球の歴史を通じての磁場の変動を詳しく知り,そこから地球磁場の性質を見極めるのが古地磁気学の一番重要な目的です.
非常に幸いなことに,地表の岩石,火山岩や堆積岩には過去の地球磁場が化石とし て残されています.もちろん目には見えませんが,ハイテクを駆使してそれらを読 み取ることは可能です.この化石化された磁化のことを自然残留磁化といいます. 自然残留磁化は非常に微弱なので,測定には特別なくふうが必要です.さらに,自然はしばしば人の目を欺きますから,なにが真の記録で,どれが偽の情報なのかを見極めるためのいろいろな実験も必要ですが,過去のある時点での地球磁場を再現することは,自然残留磁化によってのみ可能なのです.
このような研究を通じて,たとえば地球磁場の極性が入れ替わるときには,いったい どのように磁場の方向や強さが変化したのかを系統的に知ろうとしています.このテーマは現代の地球科学のもっともエキサイティングなものの1つといえます.
一方,過去の地球磁場の極が,地球の自転の極(地理的極)
だとする直感的な仮定を うけいれれば,自然残留磁化の方向から過去の地球の座標軸を決めることができます. 地球上の陸地や海底はプレートテクトニクスによってどんどん動いていますが,古地磁気学的な方法だけが定量的に過去の位置を決めることができます.つまり,ジュラ シック・パークでのカーナビなのです.その他,極性逆転のタイムレコードを利用すれば,地層の年代を推定することも可能 です.まあ,いろいろと便利な「道具」でもあり,それ自体の奥も非常に深い研究分 野です.
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